『モンハン』は瞬発力のあるゲームにしたかった
『モンスターハンター』シリーズの開発者に訊く!
3タイトルのプロジェクトにおいて、最も難航したのが『モンスターハンター』だったという。
藤岡D ほかの2タイトルは「どう動くのか」や「詰める技術」が明確だった分、全社的にバーッと動けたのですが、『モンハン』に関しては誰も姿形が見えていなかった。「カプコンが得意なアクションゲームでオンラインゲームを作ろう」という旗振りだけがあった状態で、「じゃあどうしようか、ファンタジーでいいんじゃない?」みたいな感じでした(笑)。当初は「魔法使い」「僧侶」などの職業を登場させる案もありましたが、そういうファンタジー感は日本独自のものではないし、そもそも“カプコンオリジナル”として、それでいいのかと。そこから独自性を求めるように動き出したんです。
3タイトルのテーマは「コンシューマーネットワーク」だったが、これに加えて「気軽に遊べるゲーム」も重要なテーマだったという。これを考慮した結果、『モンハン』は現在に至る「ハンティングアクション」へと辿り着くこととなる。
藤岡D やっぱり気軽に一緒に遊べるゲームがいいなと。アーケード感覚で、100円入れたら友達と一緒に遊べて、ワンプレイしたら終わるという歯切れの良いオンラインアクションゲームにしたかったんです。その分、ワンプレイを濃密にするため「無骨な狩り」というスタイルが固まっていきました。当時、MMO(多人数参加型オンライン)と言えば、プレイヤー同士のコミュニケーションを楽しませるというスタイルが標準的でした。しかし、これはドロップアイテムひとつにしても、誰に配るかで時間が掛かってしまう。「濃密なアクションゲーム」をコンセプトとした場合、我々が最も重要視したのはテンポだったので、思い切ってそうした分配をやめました。
どうしたらテンポ感が出るのか? そのジャッジをひとつひとつ繰り返していった結果が『モンハン』のひな形になっていった。